週末は、天気もよく海岸には人の姿が多くなった、夏の始まりを感じさせ鼓動が高鳴る。
店にも、朝から客が入りガヤガヤしている。

「ただいま」

店に入ってきたのは、体験ダイビングのお客さんを連れて入ってきた海里さんだ。
ホテルまで迎えに行ったのだ。


「おかえりなさい。いらっしゃいませ」

私は、海里さんと、後ろから入ってきた女性二人のお客さんに頭を下げる。

ニコリと笑顔を向け、店の奥にあるダイビング講習の部屋へと案内した。
ここで講習用のビデオを見なら説明をし、ホテルのプールで潜る練習をする。

そして、今日はボートダイブなので、パパのボートで沖へ向かる。

正直言えば、私だって潜りたいが、キッチンを空ける訳にはいかない。



相変わらずクールな海里さんは、お客さん達に淡々と説明しているが、決して冷たいものではないし、時々済ました顔で冗談を言う顔に思わず笑えてしまう。


でも、安全を守る為に、厳しい事をきちんと説明する表情も凛々しい。

女性二人もうっとりした目で、海里さんを見ているが、これも、良くある事だ。

客によっては、海里さんの事を根ほり葉ほり聞いて来る。
大抵は、適当にごまかしているが……


私は、予約の際に聞いてあったウエットスーツのサイズを見ながら、講習中の部屋の後ろにあるハンガーに掛けた。

スーツの確認をしながら、海里さんの声に耳を傾けていた。