そして、ズボンのポケットをもぞもぞとあさり、小さな袋を私の目の前に差し出した。

「えっ。なに?」

 背の高い海里さんを見上げた。

「おみやげ買って来いって言っただろ?」


「ああ……」


「ああ……って、自分で言っておいて」

 海里さんは、少し怒ったように眉間に皺をよせると、私の手を取り小さな紙袋を、手の平の上に乗せた。


「あ―。ありがとう!」

 私は、一気にテンションが上がり、小さな袋を抱きしめた。

 海里さんが、ふっと笑った。

「開けてもいい?」


「ああ、でも、たいしたもんじゃないぞ。時間も無かったし……」

 海里さんはそう言うと、海の方へ目を向けた。


 私は、袋を開けた。

 そっと、手のひらに中の物を出すと、小さい白い石が幾つも落ちて来た。
 一つを持ち上げると、小さな輪となっった。

「ブレスレット!」


「ああ、それなら仕事の邪魔にならないだろ?」


「うん!」

 チェーンが付いていて、大きさを調節できるものだった。

 私は早速腕にはめて、手すりから腕を伸ばし海にかざした。
 白い石に光りが当たりキラキラと輝く。


「綺麗―。ありがとう」

 私は、嬉しすぎて思わずめいっぱいの笑顔を向けてしまった。

 すると、海里さんの手が伸び、私の頭をポンと叩くと店の中へと入って行った。

 すれ違うように、美夜さんがテラスへと出て来た。