「おまたせしました」

 私は、トレーを海里さんの前に置いた。

「おお、ウインナーじゃん」

 海里さんは嬉しそうに、両手を合わせせた。

 ホテルのラウンジじゃなくて、私の作るモーニングを選んだからだとは言えない。


「今時、子供だってウインナーくらいじゃ喜ばないわよ」

 つい、ひねくれた言葉が出てしまった。


「いいだろ、好きなもんは好きなんだから」

 海里さんが、ウインナーにかぶりついた。


 私がくるりとキッチンへと向きを変えると、美夜さんと目が合いふっと笑われた。

 も―、何なんだろう? 

 胸の奥が苦しかったり、モヤモヤしたり、一体どうしちゃったんだろう?


 海里さんが食べ終わりテラスに向かうのと同時に、私はコーヒをカップに注いだ。

 コーヒーをトレーに乗せテラスへと向かった。


「どうそ」

 海里さんの前に、コーヒーを置く。


 いつものように、海里さんは直ぐにコーヒーを口に運んだ。


 私は、手すりの前に立ち海を眺めた。
 いつもなら、大好きなこの時間が、今日は何だか胸の中がざわついていて落ち着かない。」


「また、大阪に行くの?」
 ふと、そんな言葉が口から漏れてしまった。

「ああ、忙しくてなぁ」

「そう…… 週末は戻ってくる?」

「ああ、勿論。店の事は大丈夫だ。心配するな」


「う、うん……」

 違う、気になるのは店の事じゃない?

 大阪で何をしているのだろう? 

 由梨華と会うのだろうか? 

 気になるのに聞けない……


 そんな、もやもやを抱え海を見ていると、海里さんが立ち上がり私の横に並んだ……