いよいよだ……
 俺は、経営方針は発表の会場へと入った。

 
 檀上に立つと、驚いたように俺を見ている、綺麗で真っ直ぐな視線と重なった。

 俺は、奏海にだけ分かるように小さく肯いた。


 勇太の挨拶が終わり、ふと会場に目を向けると、奏海がフロアーから出て行く姿が見えた。テラスへ向かうのだと解り、俺もすぐ後を追った。


「やっぱりここか」

 奏海の背中に向かって声を掛ける。

 振り向いた、奏海は真っ直ぐに俺を見つめる。
 真っ直ぐで綺麗で……

「綺麗だ…… やっぱり奏海は青が似合う」

 俺は、奏海に近づく。
 このまま、抱きしめたいが、さすがに今は無理かと、手をぎゅっと握った。

 奏海は、テラスから気持ちよさそうに海を眺める。


 このテラスの想いを、俺は、奏海に話しだした。
 後から来た、おやじさんと父親を交えて……


 梨夏さんが、好きだったホテルのテラス…… 

 やっと、奏海に見せる事が出来た。


 これからは、このホテルも、あの店も、そして奏海を俺が守っていく。