ある時、兄貴は、近所の子供の持っていた、ぼーぼー鳴く牛蛙が欲しくなったようだ。俺は、兄貴に連れられ、電車に乗って着いた先は、田んぼが広がる始めて見る田舎町だった。
俺達は、必至になって田んぼの中で牛蛙を捕まえた。兄貴が嬉そうに出したのは、蓋付きのラザニア皿だった。多分、かなり高級なもの。仕方なく、それに牛蛙を入れ蓋をした。
その時、近くで見ていた近所のおじさんが、プラスチックの入れ物を持って声を掛けてくれた。
「僕達、どこから来た?」
そりゃそうだろう、田んぼで遊ぶにはふさわしくない、高級なシャツと短パンに革靴の子供達だ。おじさんは、優しい笑顔で、牛蛙をケースに移してくれた。
そこへ、パトカーに乗ったお巡りさんが来て俺達は保護された。おじさんが、心配して通報したらしい。
もちろん、家に帰ってみっちり父に怒られた。
他にもある。テレビのコマーシャルで見たカップラーメンが、兄貴の好奇心に触れたらしい。俺は、兄貴につれられ、時々母と行く百貨店でカップラーメンを買った。
兄貴は、嬉しそうにカップラーメンを抱える。俺だって、食べてみたいとは思っていた。いつも、家には親が居なくて、お手伝いさんやシェフが俺達の好きな物を作ってくれる。
でも、お湯を入れるだけで出来るものなんて、食べた事が無い。
俺達は、カップラーメンを手に家の門の前まで来たが、見つかったら取り上げられると思った。
俺達は、来た道を戻り、ごく一般的な家のインターホンを押した。やさしそうな、老夫婦が出て来て、お湯を欲しいというと、快く迎え入れてくれた。
お湯を入れ、五分待つ。わくわくしてきた。その上、初めて嗅ぐいい匂いが、鼻を膨らませる。
蓋をあけ、箸を取り始めて口にしたあの味を忘れる事はいだろう……
そこへ、ピンポーンと鳴り、またしてもお巡りさんが入って来た。
家で、虐待にでもあっており、食べさせてもらって居ないんじゃないかと心配した老夫婦が通報したらしい。
パトカーで家に送ってもらい、父に長い説教をくらった。
だから、兄貴の頼み事は、嫌な予感しかない。
俺達は、必至になって田んぼの中で牛蛙を捕まえた。兄貴が嬉そうに出したのは、蓋付きのラザニア皿だった。多分、かなり高級なもの。仕方なく、それに牛蛙を入れ蓋をした。
その時、近くで見ていた近所のおじさんが、プラスチックの入れ物を持って声を掛けてくれた。
「僕達、どこから来た?」
そりゃそうだろう、田んぼで遊ぶにはふさわしくない、高級なシャツと短パンに革靴の子供達だ。おじさんは、優しい笑顔で、牛蛙をケースに移してくれた。
そこへ、パトカーに乗ったお巡りさんが来て俺達は保護された。おじさんが、心配して通報したらしい。
もちろん、家に帰ってみっちり父に怒られた。
他にもある。テレビのコマーシャルで見たカップラーメンが、兄貴の好奇心に触れたらしい。俺は、兄貴につれられ、時々母と行く百貨店でカップラーメンを買った。
兄貴は、嬉しそうにカップラーメンを抱える。俺だって、食べてみたいとは思っていた。いつも、家には親が居なくて、お手伝いさんやシェフが俺達の好きな物を作ってくれる。
でも、お湯を入れるだけで出来るものなんて、食べた事が無い。
俺達は、カップラーメンを手に家の門の前まで来たが、見つかったら取り上げられると思った。
俺達は、来た道を戻り、ごく一般的な家のインターホンを押した。やさしそうな、老夫婦が出て来て、お湯を欲しいというと、快く迎え入れてくれた。
お湯を入れ、五分待つ。わくわくしてきた。その上、初めて嗅ぐいい匂いが、鼻を膨らませる。
蓋をあけ、箸を取り始めて口にしたあの味を忘れる事はいだろう……
そこへ、ピンポーンと鳴り、またしてもお巡りさんが入って来た。
家で、虐待にでもあっており、食べさせてもらって居ないんじゃないかと心配した老夫婦が通報したらしい。
パトカーで家に送ってもらい、父に長い説教をくらった。
だから、兄貴の頼み事は、嫌な予感しかない。


