「おお、おはよう…… ほらこれ」

俺は、立ち上がるとポケットからブレスレットを取り出した。

「ありがとう……」

 奏海は、礼を言うと同時にブレスレットを腕にはめた。

 そして、海に向かって手を伸ばした。まだ、雨の雫が木の枝からキラキラと光り、海と反射しているように光るブレスレットを奏海は見つめている。

 綺麗だ……


 どうしたらいい?

この気持ちを、お互い感じる事が出来るのは……  

 俺は、もう一度、手すりを揺らし確認する。

「なあ、奏海。波に乗らねえ?」


 俺は、始めて奏海を見て目が離せなくなった瞬間を、もう一度感じたかった。

 そして、奏海と同じ波に乗りたかった。


「えっ? うん!」

奏海は、少し驚いたように目を向けたが、直ぐに笑顔になった。



 俺達は、ボードに体を乗せ、いい波が来るのを待った。


今だ!  

俺も奏海も立ち上がった。


 波の上に立った瞬間、すごく気持いいと感じる。


 奏海の姿が、時々俺の視界に入る。


 やはり、綺麗だ……

 俺は、この瞬間を一生忘れないだろう……

 背中に、奏海を感じ、前へと進む……

 きっと、奏海は、俺について来てくれる……

 俺を信じて……

 だから、俺は、一生奏海のそばにいて奏海を守る……

 奏海の、笑顔も涙も……