「海里…… 情に流されるなと言ったが、情があるから人を動かせる事が出来るのも確かだ。多分、お前も情に動かされたのだろう……」
気のせいか、父の目力が少し緩んだ気がする。
「…… はい」
俺は、返事に一瞬迷ったが、嘘を言っても何も得ない気がした。
しばらく、父は、パソコンの画面を見つめていた。画面には、昔のリゾートホテルが写ったままになっていた。
「これは、社長としてではなく、ただの親として聞きたい。お前が流された情は、このホテルと関係があるのか?」
俺は、父の顔を見た。見たこともない、穏やかな表情をしていた。
俺は、リゾートホテルを買収する目的を正直に話した。ダイブショップの事も、そして、奏海の事も。
なぜか、俺はこの時、奏海の事は隠したくないと思った。
俺が話終えると、父は受話器を持ち秘書にコーヒーを持ってくるよう指示した。
しかも、俺達の分まで……
この話が長くなる事を示している。
だが、父は何も言わず、じっとパソコンの画面を見ている。
俺は、パソコンをしまうことも、画面を動かす事も出来ず、重苦しい空気にいたたまれない。
やはり、小さなダイブショップの為、奏海の為、父は呆れているのだろうか?
子供の頃、悪い事をした時に、長々と説教された事を思い出した。
ドアがノックされ、秘書がコーヒーをテーブルに置き部屋を出ていく。
父が、カップに手を伸ばし、一口飲むと大きなため息を漏らした。兄貴も、カップに手を伸ばしたので、俺も、コーヒーを口にした。
コーヒーの苦みが、いつもより濃く口の中に染み渡る。
一体、どんな説教を受けるのだろう……
だが、父の口から出た言葉は意外な物だった。
「これは…… 運命なのだろうか……」
父は、重い口をやっと開いたかとお思うと立ち上がった。
おおきなデスクの引き出しを開け、何かを持って戻ってきた。
少し古くなった封筒から一枚の写真を取り出し、俺の前に置いた。
気のせいか、父の目力が少し緩んだ気がする。
「…… はい」
俺は、返事に一瞬迷ったが、嘘を言っても何も得ない気がした。
しばらく、父は、パソコンの画面を見つめていた。画面には、昔のリゾートホテルが写ったままになっていた。
「これは、社長としてではなく、ただの親として聞きたい。お前が流された情は、このホテルと関係があるのか?」
俺は、父の顔を見た。見たこともない、穏やかな表情をしていた。
俺は、リゾートホテルを買収する目的を正直に話した。ダイブショップの事も、そして、奏海の事も。
なぜか、俺はこの時、奏海の事は隠したくないと思った。
俺が話終えると、父は受話器を持ち秘書にコーヒーを持ってくるよう指示した。
しかも、俺達の分まで……
この話が長くなる事を示している。
だが、父は何も言わず、じっとパソコンの画面を見ている。
俺は、パソコンをしまうことも、画面を動かす事も出来ず、重苦しい空気にいたたまれない。
やはり、小さなダイブショップの為、奏海の為、父は呆れているのだろうか?
子供の頃、悪い事をした時に、長々と説教された事を思い出した。
ドアがノックされ、秘書がコーヒーをテーブルに置き部屋を出ていく。
父が、カップに手を伸ばし、一口飲むと大きなため息を漏らした。兄貴も、カップに手を伸ばしたので、俺も、コーヒーを口にした。
コーヒーの苦みが、いつもより濃く口の中に染み渡る。
一体、どんな説教を受けるのだろう……
だが、父の口から出た言葉は意外な物だった。
「これは…… 運命なのだろうか……」
父は、重い口をやっと開いたかとお思うと立ち上がった。
おおきなデスクの引き出しを開け、何かを持って戻ってきた。
少し古くなった封筒から一枚の写真を取り出し、俺の前に置いた。


