ええ―!社長! 
 海里さんのお父さんどうしてパパの名前しっているの?

「おお、大輔。久しぶりだな。お前、老けたな…… 苦労しているんだな」

 パパが、海里さんのお父さんに向かってしみじみと言った。

「パパ、ちょっと……」

 なんて失礼な事を言うのだろうかと、アタフタしてしまった。

「アホが! お前だって、かなり老けたぞ。探すのに苦労したよ」

 海里さんのお父さんは、鼻で笑いながら言った。

 そして、ゆっくりと私の方へ向きを変えた。


「あなたが、奏海さんだね。お母さんによく似ている」

 そう言って、海里さんのお父さんはぐるりと辺りを見回した。


「梨夏は? 今日は来ていないのか?」

 一瞬、皆が目を伏せた。


「もう、四年になる……」


 パパが、ゆっくりと重い声を小さく上げた。


「ええ? まさか、別れたのか?」

「その方が、どんなにマシか…… いつか帰ってくるかもしれないからな……」

 パパの、切なそうな声を聞くと、

「まさか…… そんなことが……」


 海里さんのお父さんは、ゆっくりと目を閉じた。


 海里さんが、その場を離れるよう私の手を引いた。