私達は、リゾートホテルのロビーへと足を踏み入れた。

「うわ―っ」

 美夜さんの歓声が上がったが、私は、声を上げる事も出来ず、その場に立ちつくした。

 数年前に一度、このホテルの中に入った事はあったが、その時とは全く違う。外観からは、近代的な印象を感じていたが、吹き抜けのロビーからは、緑の植物が生い茂っていてまるで南国の島にでもいるかのようだ。

 そして、ロビーの前に広がるプールから、そのまま海に繋がっているように一体化されている。外からの風が、吹き抜けるようになっていて、どこからが室内なのか分からない。

 ホテルのスタッフは、暖かい笑顔で迎えいれてくれる。

 なにより驚いたのは、ホテルのテラスから、うちの店が見える。
 それが、まるで一枚の絵のようだ。


「す、凄い…… 奇麗……」

 そんな、言葉しか出てこなかった。

 パパも、何も言わず立ちつくしていたが、ホテルの凄さに驚いているだけだと思っていた。


「お時間まで、ホテルの中をゆっくりとご覧ください。宿泊ルームもご覧いただけますので」

 丁寧に、案内してくれたのは、ホテルのコンシェルジュの女性だった。


「ぜひ、拝見させていただきます」

 パパが、答えているが、私はテラスから見える店から目が離せなかった。