「バカでしょ……」

そして口からは呆れた気持ちがポロリ。

本当にバカ……。
俺を守って死の淵に行くなんて……。


「もう二度と、あんな真似、しないで……」


俺がどれだけ、辛かったと……。

椿に守られて、どれだけ情けなく思ったと……。


「本気で、椿を失うと思った……」


俺って、本当に情けない男にしか見えないんだろうな。

だって俺今、泣いてる。

安心したら涙が溢れてきた。

泣いたのなんていつぶりかも分からないのに。

うんと年下の女性の前で号泣するなんて。


するとフワリと柔らかい香りが俺を包まれた。

椿が俺の首に腕を回して抱き締めた。