拗ねながらスマホで適当に3杯ほどオーダーする。ペースを上げて飲んでいると里崎が心配そうにこっちを見る。だが私は怒っているのでもちろんその視線は無視して黙々とグラスを傾ける。

「お前無理してない?」

「……」

「なぁ、おい。」

「……実咲、それちょーだい」

「はぁ。もう知らんぞ。」

なんだか頭がクラクラしてくる。ショートのカクテルを沢山飲んだせいだろうか。少しぼーっとする。

ちょっとトイレ、と立ち上がろうとすると完全に足が砕けて崩れ落ちる。

「まて、付き添う」

「…いい」

「ワガママ言うな、掴まれ」

「やだ」

「里崎、俺が変わるよ」

「……すまん寒川、頼む」

寒川が、肩を貸してくれるのが分かる。半ば引きずられるようにトイレへと歩く。こんなに飲む予定じゃなかったんだけどなぁ。

「ごめん寒川、迷惑かけて」

「いいよ、落ち着いたら出ておいで」

30分ほどだろうか。少し落ち着いてきて歩けるようになったところで個室から出る。鏡にはなかなかひどい顔の私が映っている。明らかに飲みすぎだ。

外に出るとまだ寒川が待ってくれていた。

「待っててくれてたんだ、ごめん」

「いやいいよ、顔色悪いね。今日はもう帰る?」

「うん、そうする。ごめん、初めて話すのに迷惑かけたわ」

「気にしないで、心配だし家まで送ろうか?」

「ありがとう、でもいいよ。もうだいぶマシになったから1人で帰れる」

「そう?わかった。気をつけて」

ふらつきながら店を出る。家まではそう距離はないし、ゆっくり帰れば大丈夫だろう。