「いっ、いやいや!?付き合ってないよ!里崎遊び人だし、飲み友達!!悪友ってやつ!!!ね、里崎!」

そう同意を求められた里崎は一瞬だったが顔を翳らせていた。里崎が笠原さんを女友達以上として見てることなんて傍から見てたらバレバレだ。あいつはひた隠しにしてからかったりなんかしているが。

正直俺からしてみれば好都合だった。里崎は笠原さんに気持ちを伝える気なんてないだろうし、笠原さんも里崎の気持ちなんて全くと言っていいほど気付いてない。

俺が付け入る隙は、あると思っていた。

だから里崎が飲みに行く話をしているのを察した俺は、里崎を飲みに誘って笠原さんと同席できるように仕組んだ。

結果は散々だった。里崎と笠原さんのイチャつきを見せつけられた挙句、潰れた笠原さんを追いかけたのは俺じゃなく里崎だった。結局、ずるい俺は後ろめたさから、彼女を送り届けるという申し出を押し通すことが出来なかった。