もしも明日という未来があるのなら

「あー、暇。暇、ヒマ、ひま!!暇すぎる!!」

夏休みの入院、4日目、感情がピークに達そうとしている。

「もう半分過ぎたからあとちょっとだよ?」

そう笑って私をなだめるのはお見舞いに来たお母さん。

ここのところ毎日のようにこんな会話が繰り広げられている。

「はい、スイカ。いる?」

大きなバックの中のタッパーに入っていたものはスイカ。

真っ赤な実と黒く輝く種。

「おいしそう!!食べるっ!!」

がばっと布団から起き上がる。

「ちょっと、落ち着いて。悪くなったらどうするの。」

うー。まぁ、確かに、お母さんの言うとおりだけど。

元気いっぱいの私には一週間もベットの上でじっとしているとか無理なわけで。

「あ、りっちゃんと食べたいな。行ってくる!」

「はいはい。あ、仕事行かなくちゃ。また来るね。」

「うん、ばいばーい。」

返事をしながらスイカのタッパーを抱えて部屋を出る。

「うわっ!」

部屋を出た瞬間、目の前にいた人にぶつかりそうになる。

その人は私を見て瞳を輝かせる。

「び、びっくりした。ゆづじゃん!相変わらず元気だねぇ。」

「りっちゃん!」

呆れたように、でも優しく笑う、私の大切な友達。

「莉帆ちゃん、こんにちはー」

「ゆずママ!こんにちはー」

「中2なのにしっかりしてて礼儀正しくて、柚月も見習いなよ」

ふふっと笑うお母さんをじとっと見る。

「お母さんはほっといて、いいタイミングだよスイカ食べない?」

「食べたい!すっごいおいしそう!」

りっちゃんの瞳がさらに輝く。

りっちゃん、おいしい食べ物に目がないんだよねぇ。

まぁ私も人のこと言えないけどさー。

「ね、ゆづ。どうせなら屋上に行って食べない?」

屋上って行ったことない。

それ、めっちゃいい!

「賛成!行こっ!」