もしも明日という未来があるのなら

「そこでお願いがあるんです。」

「お願い・・・?」

「病気ってことを黙秘してほしいんです。」

ばれてかわいそうって思われるのが、腫物みたいに扱われるのは絶対に嫌。

病気でも体調が悪くても私は私なの。

「クラスメイトなどには何を聞かれても言わないでください。」

「・・・言わなくていいのか?」

「はい。私もみんなと同じ、1-2のクラスメイトなので。」

病気のせいでできないことがだんだん増えてくると思う。

でもだからって私だけ特別扱いはしないでほしいし。

体育の授業をはじめ、学校にこれなくなるかもしれない。

「無茶なことだとは分かっています。でも、どうかお願いします。」

「分かった。できることはするから。」

山田先生は眉を下げる。

「それと、野村のこと知らないのに、進路について色々言って悪かった。」

「いえ、言ってなかったのだから当然です。私もすみませんでした。」

訳も分からず生徒に強く言われたら先生だって困ったよね。

「ただ、僕は野村にも未来のことを前向きに考えてほしいとは思うんだ。」

未来のことを前向きにか・・・

「まだ難しいかもしれないけれど、」

「・・・はい。」

「これは野村だけでなく、みんなに言えることだが、やりたいことを思い切りやって悔いのないように生きてほしい。」

「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」

「ありがとう。いろいろ配慮しながらこっちも頑張るよ。」

なんか、少しだけすっきりした気持ちで私は空き教室を出た。

夏のもわっとした暑さが私を包んだ。