もしも明日という未来があるのなら

その日の放課後。

私は山田先生と話すために面談室の扉の前にいた。

来てもらったお母さんも隣にいる。

なんだか緊張して立ち止まってしまった。

病気のことは極力人に話したくなかった。

でも、しょうがないよね・・・

心を決めてそっと扉を開ける。

「失礼します。」

中に入ると山田先生が椅子に座って待っていた。

立ち上がってお互いに頭を下げる。

「いつも柚月がお世話になってます。今日はお時間をありがとうございます。」

お母さんの声もなんだか緊張している。

「いえいえ。どうぞ座って下さい。」

「それで野村、話ってのは・・・?」

「あー、えっと、話さないといけないことがありまして。」

「ほう、なんだ?」

先生の座るイスがぎしっと音を立てる。

意を決して顔を上げて山田先生を見る。

「私、病気なんです。」

「え?」

先生がぽかんとした表情で私を見る。

「最近悪化してきて、あと5年、生きれるかどうか分からないんです。」

検査の結果は思ったよりも悪かった。

私に残された時間は、たったの5年。

「ちょっ、ちょっと待て。病気って?」

「はい。心臓病なんです。」

突きつけられた現実。

「え・・・」

目を見開いて固まる先生。

まぁ、みんなそうなるよね、いきなり病気でしかも心臓病なんて言われたら。

「そうか・・・これからはどうするんだ?」

「私は出来る限り学校に来たいと思ってます。」

「野村の意思は尊重したいが・・・大丈夫なのか?」

「分かりません。でもこれからどんどん悪化していくのは確かです。」

なんか、自分で言ってて悲しくなってきたな。

「そ、そうなのか・・・そ、そうか・・・」

先生はまだ驚きと動揺が隠せないようで噛みかみだ。