もしも明日という未来があるのなら

「うーん・・・」

聴診器をしばらく当てた後、私の主治医のなっちゃん先生は顔をしかめる。

小学校一年生で病気が発覚してからずっとお世話になってる女医さん。

四十代なのに若くて優しくて嫌みがない。

中野、だからずっとなっちゃん先生って呼んでる。

「とりあえず今日、明日は検査入院かな。」

「はい。」

ん・・・?ちょっと待って。

今、入院って、入院って言った!?

「えっ!?」

今日、から・・・?

「分かってると思うけど悪化してるよ。」

難しい顔をしてカルテにペンを走らせながら言う。

分かってたけどあらためて言われるときつい。

「柚月ちゃんのご両親に連絡してくれる?」

なっちゃん先生が後ろにいる看護師に言う。

「柚月ちゃんは余命の話、全部聞くんだよね?」

「・・・はい。」

余命という言葉にドキ、とする。

なんか言われるのかな。

「あのね、柚月ちゃん、このままだと20歳まで持たないかも。」

え・・・

「20歳まで、もたない・・・?」

思考がストップした。

一気に頭の中が真っ白になる。

先生、どういうこと?

言っていることが全然理解できないよ。

私、あと5年以内で、死ぬ・・・?

冗談でしょう?

きっと今になーんてね、元気だよ。って言うんでしょ?

「だってこの前、5年はもつって・・・」

5年の保障に安心したのに。

聞きたいことがいっぱいあるのに言葉にならない。

「まだ確定はしてないけど、もしかしたらってこと。」

先生が泣きそうな顔で私を見る。

なんで、そんな顔してるの?

やめてよ、お願いだからやめてよ・・・

私まだまだ動けるし、元気だよ。

それなのに私、死んじゃうの?

いたたまれなくなって視線を下にする。

悔しくて唇を噛む。

どれぐらい悪化したの?

どう悪化したの?

何が原因なの?

どうすればいいの?

ぽた、ぽたっ、と涙が零れ落ちる。

5年以内ってすぐじゃん。

あっという間すぎるよ・・・

確定じゃなくても、なんとなく分かる。

もう、ほぼ確定なんだろうなって。

私、死ぬのかな・・・?

そんなのいやだよ、あんまりだよ・・・

「・・・そっ、かぁ・・・・」

なんでかな、そんな言葉しか出なかった。