もしも明日という未来があるのなら


窓の外の景色を静かに眺めながら先生の車に揺られる。

授業中。

もともと朝からだるいなって思ってて。

そしたら案の定、発作が出た。

ツキツキ、針で刺すような鈍い痛み。

最近、痛くなる頻度が多い。

大丈夫な気がする、なんてのは夢のまた夢。

確実に、悪化してるんだって身をもって分かる。

恐怖と不安で押しつぶされそうになった。

海月や水村に言えたらどんなに良かっただろう。

どうしようもないこの虚しさと苦しみを、

吐き出せたらどれほど楽だろう。

でも、それはふたりを苦しめることになる。

ふたりとも優しすぎるから、

気を使って思い切り楽しめなくなっちゃうの。

ずっと苦しい思いで居続けることになるの。

何も出来ないって自分自身を責めちゃうでしょう?

そんなの、望んでないから。

お母さんやお父さん、海月、水村。

大切な人たちには笑っててほしいって思うんだよね。

だからどんなに辛くて苦しくても絶対に、絶対に言えない。

何か思いたいものがつっかえてるみたいな。

あきらかにそこまで得体のしれない物が近づいてきてる。

ほんとに、やめてよ。

私まだ、こんなにも元気なのに。

普通の、みんなが過ごす当たり前の日常すら私は過ごせないのかな。

神様って本当にいるのかな。

世の中の人ってみんな平等なんじゃないの?

なんでなんだろうね。

これが、現実だ。

日に日に迫って脅かしてきている。

「柚月ちゃん・・・」

先生が私の名前を呟いて辛そうな表情になる。

保健室の先生と、病院の先生と、両親しか知らない私の秘密。

狭い狭い世界。

いつのまにか降り始めた雨が窓にぽつ、ぽつと当たる。

水村と屋上から眺めた空は神様を近くに感じる存在だったのに。

今は灰色におおわれてまるで私の心みたい。

あーあ、残酷だなぁ・・・

車を20分ほど走らせてついたその場所。

「柚月ちゃん、行こっか。」

「・・・はい。」

そこには見慣れた白くて大きな病院があった。