<水村 冬真side>

今日、野村が元気ないように見えるのは気のせいだろうか。

海で遊んで風邪引いたとか?

でも、なんか上の空って言うか。

「野村さん、野村さーん。」

「は、はいっ。」

英語の授業で当てられた野村がガタッと立ち上がる。

「はい、この問題答えてください。」

松本先生が少し笑いながら問題を指す。

「げっ。」

後ろで野村が小さくつぶやく声が聞こえる。

ほんとバカだな。

ボーっとしてたら当てられるに決まってんだろ。

「えーっと・・・」

仕方ない、教えてやるか。

そう思ってわざわざ後ろを向いたのに。

「最初は過去完了形、次がsuccessfulです。」

うわ、完璧に答えてる。

間違えてたらバカにできたのに。

問題を頭の中で瞬殺で解いたらしい。

そういえば野村、英語得意だったっけ。

テストで脅威の満点をたたき出して、クローバー探しに付き合わされたっけ。