もしも明日という未来があるのなら

<水村 冬真side>

思わず腕をつかんだ。

振り返った野村はそのきれいな瞳に透明な涙を浮かばせていた。

ほっとけるわけねーだろ・・・

あのまま返せるわけない。

俺は野村の腕をひっぱって屋上に向かった。


屋上で俺たちは前みたいにフェンスによりかかった。

「志望校決めてないの?」

「う、ん。」

小さく野村が答える。

「なんで、考えたくないの・・・?」

「私は決めても無駄だからさー。」

あははっと笑う野村。

いつもと変わらない笑顔。

なのに、なんでそんなに苦しそうなんだよ。

野村の表情ひとつで、心が痛い。

「可能性なんてないからさー」

なんでそんなこと言うんだよ。

「どうもがいてもあがいても、無駄なの。」

無駄ってなんでだよ。

野村の毎日はすごく明るく見えるけど。

野村は小さく笑う。

「笑っちゃうよね。ほんとに誰も分かってくれないんだから。」

明るい口調で言う野村がかすかに震えている。

野村はいつも笑顔で笑ってる。

でも心ではいつも泣いてるんだ。

何か、分からないけど何かかかえてる。

だから毎日必死に笑ってるんだ。

同情とかそんなんじゃなくて、

ただただ野村を抱きしめてあげたかった。

なぁ、

お前何抱えてるんだよ。

その笑顔の裏に、

何隠してんだよ・・・?