もしも明日という未来があるのなら

掃除が終わった生徒が帰っていくのを先生は見届けてから私のところに来る。

ご丁寧に机が二つ向き合う形でセットされてある。

「数学の課題、どこまで終わってる?」

「えーと、基礎問題までですけど。」

「じゃあ、明日までにはできるな?」

「えぇ、明日?」

「えぇ、明日?じゃない。明日だ。」

「無理です。っていうか、山田先生宿題だしすぎだと。」

「勉強今から始めないと大学落ちて浪人だぞ?」

「大学行くかどうかも分からないじゃないですか。」

「ちなみに志望校は?」

「考えてないです。」

山田先生がペンを机に当ててトントンと音を出す。

「もう高校生だぞ?そろそろ考えた方が・・・」

「考えなくていいです。受験するきないし。」

「お前、大学行かないのか?」

山田先生が驚いたようにペンを動かすのを止めた。

「だって、どうせ行けないし・・・」

「大学は行った方がいいぞ。」

そう言って志望校を記入するプリントを出す。

「でも、合格したってどうせ・・・」

「未来はまだ分かんないぞ?変わるかもしれない。」

山田先生が私の瞳をまっすぐのぞけばのぞくほど私はうつむいてしまう。

いつか話さないといけないって分かってる。

お母さんにも何度も言われてる。

でも自分で言うべきだと思って、でも言えない。

まっすぐな先生と視線を合わせたら、私の心の汚さとか、ひねくれてる性格とかがすべて知られてしまうような気がして。

生きる意味もない私。

接する態度変わるかなとか、引かれるかなとか。

考えたらどうしても言えないんだよ。