もしも明日という未来があるのなら

「あ、冬真くんじゃないの。」

ナースステーションでお弁当を渡していたら奥の方で声がした。

ここの病院の委員長の奥さんでベテランの看護師の上原さんだ。

父も医者で今は移動しているが前はここに勤めていたため何度か来ているから顔見知りだ。

「こんにちは、しばらくですね。」

「うん、久しぶり。大きくなったねー。水村先生元気にやってる?」

「父ですか?今はドイツで頑張ってるらしいです。」

「そっかー。それで今日は?弟の悠真先生にお届け物?」

「お弁当、また忘れて行ったんですよ。」

と俺は苦笑。

兄の悠真は父の姿を見て医者になると決めたらしい。

だから俺は特に継がなければとか考える必要なく、自由に過ごさせてもらっている。

「なるほどー。じゃ、直接届けてきなよ。」

「え。」

「今休憩室いるだろうからさー」

俺は無言で面倒臭いです、という表情をする。

「ほらほら。またあとでねー。」

ニコニコ笑う上原さん。

顔見せてきなさいよ、ってとこだろうか。

母も1/3は同じ目的だろう。

もう1/3は俺に体を動かしに行かせることが目的で残りは自分が行くのが面倒くさいからである。

しょうがない、と譲歩してしまうのは俺の面倒くさがりは母譲りであるから、少しは共感してしまうからだ。