もしも明日という未来があるのなら


木曜日。

私はたくさんの教材をつめたリュックを背負い、

制カバンとは別に手提げの袋ももって校内を歩き回っていた。

山田先生は私は絶対戻ってくるんだから

教材も机もそのままでいいって言ってくれたけど、

ドナーを何年待つことになるかは分からないし、

発作が出て、死んでしまうかもしれない。

だから持って帰らせてもらうことにした。

海月には荷物、多っ!って驚かれたけど

勉強するんだよって言ったらぎょっとした顔で

それでも笑って頑張れって言ってくれた。

調理室、みんなでドーナツ作ったなぁ。

意外とうまくできて美味しかったんだよね。

PCルーム、水村とゲーム競ったっけ。

いい勝負だったんだけど負けて、悔しかった。

テスト前は図書室で海月と水村と蒼木と勉強したな。

ここは、高3のフロアだ。

みんな勉強してる、すごいな。

2年後、私もこの中にいることは出来るのかな。

私に、未来はあるかな。

常に死と隣り合わせの恐怖。

寝れない夜はしょっちゅう。

あぁ、生きたいよ。

私だって生きたいのに。

浮かぶ涙をぐいっと拭く。

まだ、大丈夫。

大丈夫、泣くな、柚月。

目を閉じると浮かんでくるのは

海月と、蒼木と、水村の優しく笑った顔。

私はゆっくり目を開けてまっすぐ前を向く。

私、精一杯、足掻くよ。

生きて見せるよ。

待っていなくていいから。

私のこと、忘れないでいてくれたらいいな。