もしも明日という未来があるのなら


「失礼します。」

「あれ、柚月ちゃん泣いてたの?」

入るなりなっちゃん先生に言われてちょっと言葉につまる。

まぁ、目、腫れてるから当然か。

「あとでちゃんと冷やしなさいよ?」

小さくこくんとうなずく。

「それでね、もうお母さんには話したんだけど、」

真剣ななっちゃん先生の表情。

「柚月ちゃんには心臓移植を考えてみてほしいの。」

「心臓、移植・・・」

ついに、か。

心臓移植。

誰かの心臓をもらう、ってこと。

「もちろん、ドナー登録して待たないといけないことにはなるんだけどね。」

ドナーか。

心臓が変わったら私はどうなるんだろう。

心ごと、変わっちゃうのかな。

私が私じゃなくなっちゃうのかな。

それって怖いよね。

それにもしも失敗したら、私は死ぬんだよね?

でも、このままでも死ぬかもしれないんだよね?

死にたくない。

生きたい。

「私、生きたいよ・・・」

「うん。」

「でも、怖い・・・!」

「うん。」

怖い気持ちが勝つか、生きたい気持ちが勝つか。

「ご両親は柚月ちゃんの気持ちを尊重するって。」

それを聞いて私は少しほっとする。

「そっか。」

「よく、考えてみてね。」