もしも明日という未来があるのなら


水村の言葉が鮮明に鮮明に、耳に残っている。

『嫌いとか、そんなん言うなよ・・・!』

嫌いなわけないのに。

『俺はっ・・・』

やめて、言わないで。

『俺は、野村のことが、』

水村、

『好き、なのに・・・!』

ぎゅうっと胸が苦しくなる。

好き。

私も好きだよ、水村。

あんな別れ方したくなかったよ。

でもね、好きって言ったらもう止まれないんだよ。

水村の優しさにすがりついて、

弱いところばっかり見せちゃうことになるんだから。

そんなの嫌だよ。

だからしょうがないの、ごめんね。

水村の記憶の中では、

いつまでも元気で明るい野村 柚月でいたいもん。

それに私、死ぬんだよ?

5年も一緒にいられるか分からないのに。

もしかしたら明日発作が起きて死ぬかもしれないのに。

私が一緒にいたらその分だけ水村を苦しめるんだよ。

水村は優しいから、もしも死んだときに、

きっと悲しむんでしょう?

そんなの見たくないよ。

生きることを諦めてるわけじゃないよ。

でも、どうしても、もしかしたらって考えちゃうんだよ。

『もう、関わるの、やめよう?』

そんなこと思ってないよ。

『水村といると疲れるの。楽しくないから。』

そんなわけないじゃん。

『じゃあ、ばいばい。』

嘘、嘘、嘘。

『嘘じゃないよ。』

嘘に決まってんじゃん。

『水村が、嫌いだから。』

全部、うそ。

好き、大好き。

世界で一番、水村の笑った顔が好き。

君の優しい声もふざけてるところも、

何もかもが愛おしくてしょうがない。

分かってる、今さら後悔してももう遅いって。

でもこれしか方法がないんだよ。

ぬぐってもぬぐってもあふれる涙。

ねぇ、水村、私のこと好きって言ってくれたよね?

あれ、私の聞き間違いなんかじゃないよね?

すごいよ、奇跡だよ。

だって私達、両想いじゃん。

なのに、こんなのあんまりだよ・・・!