背を向けて玄関に向かって歩き出す。
ドアを閉めようとしたとき、
「野村・・・!」
「っ、」
大好きな人の声に手がぴたっと止まった。
苦しそうな水村の声。
「嫌いとか、そんなん言うなよ・・・!」
あぁ、だめ、やめて。
気持ちが揺らいじゃいそうだよ。
「俺はっ・・・」
吐く息が震える。
「俺は、野村のことが、」
言わないで____
「好き、なのに・・・!」
世界が、一瞬止まった。
息が出来なかった。
ずっとずっと抱えてきた想い。
大好きな人からの好きって言葉。
言われたかった言葉。
聞きたかった言葉。
水村からの、『好き』。
こんなの、耐えられないよ。
なんで、今、言うの。
どうしようもないのに。
現実は変えられないのに。
幸せなのに、苦しくて苦しくて。
「野村!」
私はがちゃっと扉を閉めた。
これ以上は限界だった。
耐えていた熱い涙が零れ落ちる。
「・・・うぅ、・・・ふっ・・・」
水村の傷ついた顔が頭によぎって苦しい。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
ごめん、水村。
嘘ついて、傷つけて。
これからももっとたくさん遊んで話したかった。
楽しくて時間が過ぎるのもあっという間で。
ほんとにほんとに、幸せだった。
ばいばいなんて言いたくなかった。
嫌いなんて嘘だよ。
「みず、むらっ・・・」
好きだよ。
大好きだよ。
大好きで大好きでしょうがないよ。
最後に好きとか言わないでよ。
最後が好きとかなんなのよ。
苦しくて辛くてどうしようもない。
両想いになれたのに。
奇跡が、起きたのに。
大好きだよ、水村。
ねぇ、大好きだよ、水村。
「・・・す、きだよぉ・・・!」
もしも私に約束された未来があるのなら、
明日という未来があるのなら。
迷わず好きって伝えるのに____

