そのまま水村が送ってくれて家の前まで来る。
言わないと。
水村に、言わないと。
ふぅ、と小さく息をつく。
「水村、」
「なぁ」
二人が同時に口を開いて私たちはあって顔をする。
いつもだったら笑う所だけど、今日は笑えなかった。
水村があまりにも切ない表情をしていたから。
「ごめん、どうした?」
「ううん、水村からでいいよ。」
一瞬、戸惑うようなそぶりを見せてから、水村は私の手をきゅっと握った。
「あのさ、変なこと聞くかもだけど、」
「うん。」
「お前、いなくならないよな?」
水村の綺麗な瞳が悲しげな色にゆらゆらと揺れる。
「え、?」
「なんか、このまま手、離したら、野村消えそうで。」
なんで、そうやっていつも気づいちゃうのかな。
私には5年どころか明日すら保障されていない。
いつか、今日か明日か明後日か5年のタイムリミットに
焦りを感じるのは終わりがあると知りながら
毎日を過ごすなんて耐えられる気がしない。
私は、自分自身が傷つく前に自分で守るの。
そして水村をたくさん傷つける前に離れるの。
私はそっと手を離す。
頑張れ、柚月。
言わないと。
いつもみたいに笑って。
心に言い聞かせる。
無理やりにっと笑顔を作った。
たぶん、めちゃくちゃぎこちない。
「水村。」
大丈夫、笑え。
「もう、関わるの、やめよう?」
「・・・は・・・?」
眉根をきゅっと寄せて困惑を見せる水村。
「水村といると疲れるの。楽しくないから。」
「なに、言ってんの・・・?」
「じゃあ、ばいばい。」
くるっと背を向けて家に帰ろうとするとぐっと手を掴まれる。
「嘘、だよな・・・?」
「嘘じゃないよ。」
「ちゃんと俺の目、見て言えよ。」
私は振り返って水村の目をじっと見る。
たぶん、最後だからちゃんと焼き付けておくの。
「水村が、」
声が震える。
「嫌いだから。」
掴まれていた手から力が抜け、ストっと離される。
消えていくぬくもり。

