放課後。
海月が部活に行くのを見送ってから私は教室を出る。
今日はクラスの仲のいい子もみんな用事があってたまたま一人。
いつもは騒がしい学校もちょっと静かに感じる。
下駄箱に行くと見慣れた人の姿があった。
「よっ!」
声をかけるとふわっと柔らかい笑みを見せる水村。
最初、病院で出会ったときはびっくりするくらい冷たい目してたのに。
「あー、今帰り?」
「そうだよー。」
靴を履き替え自然に二人で通学路を歩き出す。
「今日ね山田先生が、前見てなくて壁にぶつかってたんだよ。」
「ぶっ、見たかった!」
水村は思わず吹き出して、私も思い出して、くくくっと笑う。
「そーいえば蒼木がさー、友達驚かそうと炭酸振ってたんだけどな、」
「うん」
「あいつすっかり忘れて炭酸頭からかぶったんだよ。」
「え、それ私もこの前やった!」
「まじかよ、お前ほんとバカ。」
ひぃぃとお腹がよじれそうなほど笑う。
おもしろすぎて辛い。
水村笑いすぎて目に涙たまってるし。
話してたらあっというまでもう少しで家。
最近暗くなるのも早くなっている。
「もう10月か。」
「早いねぇ。」
水村が隣にいて当たり前のように家まで送ってくれて、
何気ない会話をして、付き合ってるみたいでなんだかくすぐったい。
家、もっと遠ければいいのに、なんて。