<水村 冬真side>

「あー、おはよー。この前はありがと」

朝、下駄箱で野村と会った。見たところ元気そうだ。

普段目にとめないから分からないけど。

「体調は?」

くつを履き替えながら聞く。

「土日休んだからもう平気。貧血だってー」

と野村はどこかぎこちなく言った。

「っていうか・・・」

そう小さくつぶやいてこっちを見る。

「この俺が女子の心配するなんて明日は嵐が来るとか考えてんの?」

「え。な、な・・・」

驚きのあまりスクバを落としかける野村。

まじでそう考えてたのかよ。

マンガの世界かって心の中で思わず突っ込みを入れて笑った。

「何にやついてんだか」

そう呟きながら野村は俺を置いてさっさと教室に行った。