もしも明日という未来があるのなら

金曜日。

ぼーんぼーんという時計の音で私は顔を上げる。

図書室の7時を告げる音。

「って、もう7時!?」

私の声に3人が顔を上げる。

慌ててノートやらシャーペンやらを片づけた。

下校時刻過ぎたらめちゃ怒られるとかどうとか。

「時間経つの異様に早いな」

ぽつり、と水村が呟く。

本当に最近そう思う。

海月たちといる時間が心地よすぎる。

毎日が充実しすぎている。

このままだったら、抜け出せなくなる。

今の生活に必ず終わりが来ることは、私が誰よりもわかってることなのに。

「あー、俺テストやばいかも・・・」

蒼木が半泣きになりながら嘆く。

来週からテストが始まる。

人生で一番勉強した今回のテスト。

勉強も青春のうちの一つなんだなって今更感じる。

校門を出るともう辺りは真っ暗だった。

もうすぐ10月かぁ。

日中はまだ夏の暑さが残るけど夕方になると風が冷たい。

海月もちょっと身震いする。

「海月、大丈夫?寒くない?」

その様子に気づいた蒼木が海月の顔を覗き込んで聞く。

海月、割と頻繁に風邪ひいて鼻声でゆずぎーって言ってるし。

「はい、使う?」

蒼木がかばんの中から白のパーカーを取り出す。

冷えるかなと思って持ってきたんだよーと笑う。

「え、でも、悪いし・・・」

「風邪ひくよ?」

「別にこれくらいどうってこと・・・」

「あ、俺のが嫌とか?傷つくなぁそれは。」

「そういうことじゃなくて、」

「ちゃんと洗濯してあるから安心してよ。」

「いや、いいよ・・・!」

「女の子なんだからだーめ。おとなしく着て?はい。」

めずらしく強気の蒼木に海月はちょっと照れて、うんとうなづく。

私と水村は思わず顔を見合わせて目配せ。

いい感じじゃない?ってたぶん水村も思ってる。

好きな人から言われたら嬉しいんだろうなぁ。

「野村は寒くない?」

「全然っ。ありがとー。」

蒼木って意外と気が利く。

ううん、違う。

蒼木は明るくてお茶目な愛されキャラだけど、

一見バカにも見えるけど、

人のことちゃんと見てるんだ。