同じクラスの水村冬馬。

今まで、クールなのにモテる、ただのクラスメイトだったのに、土曜日に今日と、

急に話す機会が生まれて、それで

恥ずかしそうな顔と、笑った顔と、

案外素直な一面を見た。

「・・・はあっ・・・」

何あれ、なんかドキッとした。

どく、どく、鼓動が響く。

次の瞬間、鈍い痛みが走った。

息が、苦しい。

脈が早い。

待って、これは水村のせいで鼓動が早まってるんじゃない。

冷や汗がドバッとでる。

空気がうまく肺に入ってない気がする。

落ち着け。落ち着け、柚月。

「野村ちゃん!?」

焦ったような、緊迫したような、誰かの声が聞こえる。

私は平穏な学校生活が送りたいの。

今ここで意識失ったら絶対怪しまれる。

それはなんとしても避けたい。

頑張れ柚月、落ち着け。

気持ちとは裏腹に意識の薄れと過呼吸が一向に良くならない。

目の前で焦った顔をしている人を少しだけ見上げる。

ごめん。

お願いだから、どうにかして。

こんなこと言っても無駄だってわかってるけど。

朦朧とする意識の中で

誰かに抱きかかえられるのを感じた。