「…はい?」
一瞬その美貌に見惚れたけど、すぐ我に戻った。
顔はどちらかと言うとクール系で、切れ長の冷たそうな目からは想像できないほど柔らかい喋り方だった。
いや、突然声を掛けてくるとは、何者だ。
「あ、すみません。なんか人生に疲れたような顔してたから心配になっちゃって。初対面なのに馴れ馴れしく話しかけてすみません」
深々と頭を下げる男性。
慌ててベンチから立ち上がる。
「あ、いや!そんな! 頭上げてください!」
こうやってみると、とても高身長だった。
どこかのファッションモデルでもやっていそうな容姿に、こんな綺麗な人が現実にいるんだ、と思った。
「というか私、そんな死んだ顔してました?」
「うん、結構」
まぁそりゃそうだ。
この半年身も心もボロボロだったんだから。
「色々…ありましてね」
「そーなんだ。まぁ人生色々だよ」
見た目同い年くらいなのに、人生悟りを開いたような妙な落ち着きのある彼を不思議に思った。
この人、人の心にスッと入っていくのが上手いんだな。
直感的にそう思った。



