「えー、みんな作業中で申し訳ないが、一度手を止めてくれ」


部長の声で全員の手が止まる。
キーボードの音や書類のカサカサという音、飛び交う声が一瞬にして静まった。


「新入社員を紹介するぞ」


部長の隣に並んだ、その人を見て、心臓が止まりそうなほどの衝撃を受けた。


「…はじめまして。本日からお世話になります。





永田誠司と申します。

よろしくお願いします」



深々と頭を下げた彼。
あの頃とは違う顔つき、口調だけど、まさしく私が出会った彼だった。


彼はもう翔太郎ではないけれど、これも何かの運命なのだろうか。


「うわっ。びっくり。イケメンじゃん。ね?ゆな…ゆな?」





自然と私は涙を流した。




また…逢えたね。






【完】