「今日は、この辺にしとこっか」


「え?もう帰るんですか?」


ポカンと口が開く。
いつでもリョウさんのペースだ。

でも、そのペースが心地よかったりもする。


「またね、ゆなさん」


「はい、また」


私たちは公園で別れた。
ついていけば、リョウさんがどこに住んでいるのかとか、簡単に分かるかもしれない。

でも、それはしなかった。

知りたくても、無粋な形で知りたくなかった。


リョウさんとの関係は、綺麗なものでありたかったから。



彼の背中が見えなくなるまで、私はその場に立ち続けた。


ふと空を見上げてみると、全面にかかった雲越しに、うっすらと月が輝いている。

さっきまであんなに晴れていたのに。