不思議に思い、そっと目を開く。

リョウさんは、眉間に皺を寄せ、難しい顔をして、それでいてどこか悲しげな表情をして、何か、どこにもぶつけられない感情を抑え込んでいるかのような、複雑な顔を見せていた。


「…リョウさん?」


「…ごめん」


リョウさんは一歩後ずさった。
その"ごめん"の真意がわからなかった。

私、嫌じゃなかったよ。



「…ううん、こちらこそ、ごめんなさい」


どうして謝ったのか、自分でもわからなかった。


「びっくりしたでしょ」


「ちょっとだけ。でも、自然と受け入れる自分がいました」


「…そっか」


悲しそうに笑うリョウさん。
最近のリョウさんは感情が読めない。


元々喜怒哀楽激しい人ではないと思ったけど、こんなにも頻繁に複雑な顔をしているリョウさんは初めてだ。


「あのさ、ゆなさん」


「なに?」


そのあと、間があった。
口にするのを躊躇っているかのような、そんな様子だった。

しばらく待ってやっと出た言葉は、私の心をズシンと重く叩いた。





「もし俺が、急にいなくなったら…どうする?」