「あの!もしよかったら、電話番号教えてもらえませんかっ!?」


もっとあなたのことを知りたい。



「メッセージアプリでも、何でもいいんでっ」


偶然にでもこんなに会えるのは奇跡だ。
でも、次からちゃんと、連絡を取り合って会いたい。


私、だんだん欲張りになっているのかな。




『いいよ』
そう言われると思っていた。


だって、私を必死になって助けてくれて、こんなに仲良くもなって。


変な自信があったのかもしれない。


だけど、私のその淡い期待は次にリョウさんの口から放たれる言葉で、一瞬で崩れ落ちた。





「…ごめん、それはできないんだ」


「え…」


あぁ、やっぱり迷惑なんだ。


一気に恥ずかしくなった。
連絡先を拒まれるなんて、よほど迷惑だったのだろう。


自分の存在を否定されたような気持ちになった。



「…あ、じゃなくて。俺スマホとか持ってなくて」


連絡先を教えるのを断る常習手段の一つじゃん。
情けない。自分が恥ずかしい。



「そう…ですか。すみません、変なこと聞いて」


少しでも、今までよりも、ちょっとだけ近づきたいと思ったのがダメだったんだ。


人間は欲望にまみれた生き物だ。


次、もっと次って、どんどん求めてしまう。




そんな私はリョウさんに拒絶されたんだ。