並んで公園を出る。

まだ21時前だというのに、人も少なければ車も通らない。

どちらかと言うと田舎な私の地元だ。


だから油断は禁物。

突然車が走ってくることもある。




車のライトが目に入った。


「危ないっ」


咄嗟に手を引かれ、気づけば私はリョウさんの腕の中にいた。


静かに走ってきた車に、木々で囲われた公園の出入り口からその存在に気づかず、あわや轢かれそうになった。



「…大丈夫?ゆなさん」


私の心臓がバクバク大きな音を立てながら動いている。
リョウさんのそれは、一定で、落ち着いた鼓動だった。


私だけ凄くドキドキしている。


「ありがとう…ございます」


しばらくその腕を解いてくれなかった。
何を思ってそうしているのか、私にはんからなかった。


「…ゆなさん」


「ん?」


見上げようにも身長差がありすぎて首が痛くなったので、そっとリョウさんの胸に顔を当て戻した。


「いや…何でもない」


そう言いながら、抱きしめる腕が更に強くなった。


だけどそれは一瞬で、すぐに解かれたのだった。


「ごめん、抱きしめたりなんかして」


謝らないで。嫌じゃなかったよ。