「リョウさんって、なんか不思議」


無意識にそんな言葉が口から出た。


「ん?不思議?」


「私の心にすっと入ってきて。私、何でも話しちゃう。でも私はリョウさんのこと、あんまりわからない。普段何しているのかとか。今日だって、私を待ってる間散歩してたって言ってたけど、それも変わってるなーって思いました。なんかすみません…」


悪い風に言っているわけではない。
私にとって本当に不思議な存在だ。
でも、安らぐ存在だ。



「俺、変なやつってイメージ?ゆなさんの中で好感度下がっちゃったかな」


切れ長のクールな目が、しゅんと垂れ下がった瞬間だった。


不本意にも、可愛いと思ってしまった。


「いえ、そんなこと!むしろ好感度上がりまくりですよ!!言い方が変でしたね、すみません」


「本当に最初はゆなさんのことが心配だったんだ。悲しそうな顔してた。でも今は楽しそうに喋るね」


翔太郎を失ってから、何かを心から楽しんだり、笑ったり、そうすることができなかった。


全部表面上だけ繕っても、やっぱり心の何処かに翔太郎がいた。


翔太郎のいない現実で生きていくことが難しかった。


彼は、そんな私を救ってくれそう。
そう感じたんだ。