「ノイちゃんを借りたいんだけど駄目かな?」
「私は本ではありません。なので借りれません」
「じゃ、手出して」
「手ですか?」
はいっと俺に差し出してくれた。
素直に出してくれないと思ってたのに。
案外、素直な子なのかな?
俺はペン立てに入ってたサインペンを取り出した。
キュキュキュ。
「…何してるんですか?これ油性ペンですよね?」
真中 優羽 まなかゆう
「俺の名前書いちゃった」
てへっとふざけて笑うと
「書いちゃったじゃありませんよ」
怒りもせずに自分の手をじっと見ているノイちゃん。
どうやって消そうか考えてるんだろうねぇ。
「だから今日だけでもいいから俺に借りられて欲しいな」
「チャラ男さん、こんな私を借りてもおもしろくはありません。……本の世界のようにあなたを楽しませれるわけでもない、感動させれるわけでもないんです。それに私は借りれませんって言いました。本ではありません」
「それはノイちゃんが思ってるだけだよ」
「何で私なのですか?チャラ男さんが連れてる女子の方は皆可愛いくてキラキラしてます。私は地味でキラキラしてません」

