私は家から近い高校に通うことにした。

何の目的もなく、ただそこに通うことにした。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

母親に見送られて家を出る。

歩いて15分。

校門を通ると肩を叩かれた。

「おはよう、ヒナ」

「おはよう、マナミ」

友人のマナミ。

一応小学校からの仲だ。

昔、一緒にかくれんぼをしていた。

「そう言えば今日、転校生来るらしいよ?」

「え、そうなの?珍しいね」

「だよねー!男の子かな女の子かな」

転校生が来るだけでここまでテンションが上がるのはマナミだけだろう。

「おはよう、ヒナ、マナミ」

「おっはよー!」

「おはよう」

教室の自分の席に座る。

マナミはクラスの人と噂をしている。

「おはよう、守形さん」

「おはよう委員長」

クラス委員長の花守アキラ。

「守形さんはワクワクしないの?」

アキラは楽しそうに話しているマナミとクラスの人の方を見る。

「別に興味はないかな、無理に関わらなくても」

「そっか、案外サバサバしてるんだね守形さん」

「委員長は違うの?」

机に伏しながら聞く。

「んー、僕は興味あるよ?」

そう言うアキラも私には乾いているように思えた。

「少し寝る」

「そ、おやすみ」