探してもいない。

見ていない場所はあとどこだろうか。

教室には入らず、中を軽く除く。

「いない…」

かくれんぼなんて小学校以来だ。

ずっと彼を、カンちゃんを避けてきた。

もう負けたくなくて。

負けないためには辞めることしかできなくて。

思い出されるあの頃の記憶。

どうしてカンちゃんは私を見つけられたのだろう。

カンちゃんは私を何でも知ってる。

なのに私は、何も知らない。

隠れるときはいつも一緒だった。

私は昔、どこに隠れていた…?

いつも、どこに…。

「あ、」

足の運びがゆっくりになる。

嬉しくて嬉しくて仕方がない。

今、思い出した。

私も忘れていた、あの頃の感覚…!