ある日、いつものようにかくれんぼをしていた。

私は最初に彼を見つけて、彼は最初に彼女を見つけていた。

私は2人の近くに隠れていた。

彼とヒナちゃんは何か言い合っているように見えた。

声は聞こえはしなかったけれど。

次の日、ヒナちゃんはベンチに座っていてかくれんぼから外れた。

私が鬼になって数を数えているとき、ヒナちゃんの傍に彼が駆け寄ったのが分かった。

するとヒナちゃんは怒って帰ってしまった。

私は気にせずかくれんぼを続けた。

次からヒナちゃんは公園に来なくなってしまった。

今でも覚えている。

彼が辛そうな笑顔で話すのを。

彼は諦めなかった。

学校でもヒナちゃんに声をかけ続けた。

たとえ、無視されても。

私もヒナちゃんとは話さなくなった。

関わるグループが変わって、彼が小学校卒業と同時に引っ越して。

ヒナちゃんと久しぶりに話したのは中学に入ったとき。

ヒナちゃんもまた、あの日の彼と同じように辛そうな笑顔を見せた。

後悔していることが目に見えて分かった。

だから私は動いたの。

ヒナちゃんと彼の為に…。