「お前とは本気じゃなかった、じゃあな」


消えていく後ろ姿。

何も言えずに涙を流すわたし。


まただ、
またわたし、遊ばれたんだ。


いくら手を伸ばしても、この手を誰も握り締めてはくれない。






ふと目を開けると、そこには天井が広がっていた。

「夢か、、、」

ついボソッとこぼれる独り言。

また同じ夢だ。
何度も繰り返しみる、誰かに捨てられる夢。

いつもは涙を流して目を覚ますのだけれど、今日はうっすらと涙が出ているくらいで溢れてはいなかった。

枕元にあるスマホで時間を確認すると、起きる予定時刻の2分前だった。

わたしは身体をゆっくり起こすと、あくびを一つして、乱れた髪の毛をかき上げた。

また今日もいつもと同じ一日が始まる。