『なぁ、死ぬの?』
わたしに、言ってる…のよね?
てかなんでこの人ここにいるの?
「はい。そうですけど」
早く立ち去ってよ。
『なんで?』
なんで…って。
「貴方に関係ないですよね?私が死のうが死ぬまいが。」
いま、はじめて話したばかりの関係なんだから。
『あるよ。大いにある』
はぁ?何が関係あるっていうの?
「なんの関係が…」
『死んで欲しくないんだよ、瀬戸さんには』
この人、私の名前知ってるんだ。
そうだよね、同じクラスだものね
彼は、遠野隼斗くん。クラス一の人気者で、いつも友達と一緒でいつも楽しそうな人。
そして、私のような"透明"には遠い存在。
「なんで?わたし、貴方と話したの今日が初めてだよ?」
話したばかりの人に"死んで欲しくない"?
矛盾してる。私のつらさ知らないくせに。
多分この人も"テス勉し忘れた、テストやばい。死にたい"とかいう馬鹿なヤツらと同類だろう。
簡単に"死にたい"なんていうやつらがわたしは、
大嫌いなんだ。
『俺は、ずっと瀬戸さんと話したかったんだ。いつも見てるから…』
話したかった…?見てる…?何言って…
『だから、いま話せてとても嬉しい』
そう笑顔で言った。
ドキッ
かっこいい…なんて思ってしまった。
この人に愛されたらどんなに幸せだろう…って。
なんで、なんだろ。この人なら大丈夫って感じてしまうのは…。信じても足る人だよ…とも。
「そ、うなんだ」
あ…っ、動揺して言葉が上擦っちゃった。
『ねぇ、海愛って呼んでいい?俺のことも隼斗って呼んでいいからさ!』
そうまた笑顔でいった。
「隼斗…くん。」
初めてだ。わたしが男の子を下の名前で
呼んだのは…。
なんか、ドキドキする…
「うん!ありがと海愛!」
ドキンッ
さっきより大きく跳ねた心臓。
男の子に呼び捨てされたのも、初めて…
今日は、"初めて"ばかりだな。。