それからというもの、社長の溺愛は、益々増していったような気がしてならない。

優子さんの事をどこがで重ねてしまうのだろうか?

そう思えてならなかった。

休日、喫茶店の中で、コーヒーを飲みながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。

今日だって、友人と買い物に行くからと、嘘を付いて出てきたくらいだ。

だって、そうでも言わないと、一緒に行くと、聞かないものだから。

「…浮かない顔だな」

突然声をかけられて、驚いて顔をあげると、そこにはラフな格好をした西園寺専務が立っていた。

「西園寺専務」
「笠原と何かあったの?」

「…別に」

私の答えに、クスッと笑った西園寺は、話を続けた。

「溺愛、いや、過保護が最近益々酷くなったんだろ?」

「な、ナンでそれを」

ズバリ言われて、言葉を詰まらせる。

「笠原は止めとけって何度も忠告しただろ?笠原が君を溺愛するのも、過保護にするのも、あまりにも君が優子に似ているから」

「…え?」

「ほら、俺の横に写ってるのが、妹の優子」

スマホの画面には、兄妹仲良く写って写真。

優子の顔を見た私は、まるで、自分が写ってるんじゃないかと思うほど瓜二つで口にてを当ててしまった。

「君を優子だと思ってしまってる。笠原は、君を愛してるわけじゃないよ。笠原は、君を通して、優子を見てる」

そんな事って…

私は涙が止まらなかった。