しばらく一緒にいてくれた瑞樹だったけど、これ以上は迷惑はかけられないと、そこで、瑞樹と別れた。

瑞樹は心配して、送ると言ってくれたけど、断った。

結局何も買わないまま、駅に向かって歩き出す。

うつむいていた私の足元に誰かの足が写って顔をあげた。

「貴女は」

それ以上、声が出ない。

何故、こんなところにいるのか。

「先程はどうも。すこし、話せるかしら?」

さっきまで、社長と一緒にいた、あの女性が、私に会いに来るなんて。

断れず、駅近くの喫茶店に入り、座った。

「ご注文は?」
「紅茶を」

私の言葉に頷いた店員。

「お客様は?」

女性に問いかけるが。

「直ぐに終わるからいらないわ」
「かしこまりました」

重たい空気に店員はそそくさと店の奥に入っていった。

「手短に言わせてもらうわ…あなた、良樹さんとどういう関係?」

「…社長と社員と言うだけの関係です」

私の言葉に、女性は驚いた顔をしている。

「良樹さんは、あなたを」
「…え?」

「まぁ、いいわ。あなたがそう言うなら。何を勘違いしてるのか知らないけど、良樹さんを傷つけることだけは許さないわ。良樹さんが可哀想。彼の気持ちを弄ばないで」

そう言い捨てると、女性はさっさと店を出ていった。

…そこに店員が紅茶を持ってきておいた。

私はそれを少しだけ飲むと、店を出た。