「俺、結愛の事、何にも知らないんだなって思い知ったよ」

瑞樹の言葉に、瑞樹を見ずにはいられなかった。

「あの頃こうやってちゃんと結愛と向き合ってたら、今も付き合ってたのかな?」

「どうでしょうか」

「結愛は今も、良樹が好き?」

…そう簡単に、社長への気持ちがなくなるわけもなく。

私は苦笑いするしかなくて。

「うん、そうだよな…まぁ、長期戦のつもりでいくし」
「瑞樹さん」

その後は、もうそんな話はしなくなって、二人のことを色々話した。

その日は、夕方で別れた。

私を送り届けた瑞樹は、とある場所に車を走らせた。

着いたところは、瑞樹の実家。

社長の住む家。

「良樹」
「…どうした?そんな怖い顔して」

書斎で仕事をしていた社長、瑞樹は社長に自分の気持ちを告げに来た。

「俺は、結愛が好きだ」

「な、」

「昨日も今日も、結愛と一緒にいて、結愛を幸せにしたいって心から思った」

「結愛はやらない。結愛は、俺のモノだ」

「結愛を泣かせるヤツに、そんなこと言う資格はないから」

そう言うと、瑞樹は家を出ていった。

…結愛を泣かせるヤツに?

未だ、結愛と連絡すら取れないでいた。


それと関係があるのだろうか?

社長はいてもたってもいられなくなった。