…そして次の日。

私はお弁当を作って、身支度を済ませ、瑞樹が来るのを出迎えた。

「おはよ」
「おはようございます」

「どこにいきたいか、ちゃんと考えた?」
「…動物園に行きたいんですけど」

思ってもいない場所だったんだろう。瑞樹は少し驚いた顔をしたけど、直ぐに笑顔になって、頷いた。

「よし、じゃあ、行こうか…しかし、その大きな鞄は何?」

「…お弁当、何ですけど」

作ったのはまずかったかな?そう思うと、語尾が小さくなる。

「やった。結愛の手料理食べれるんだな。それ、俺が運ぶよ。」

「ダメ、じゃなかったですか?」
「なんで?」

「いや、反応が」
「嬉しいに決まってるだろ?むしろ、俺が誘ったのダメだったかなって思ってたから。そうじゃないみたいで、安心したんだよ。ほら、行こう」

「はい」

…付き合ってた期間が短かったし、お互いのこと、よく知らないまま別れた私達は、すべてが初体験なのだから、仕方ない。

瑞樹は、どこに行っても、何をしてても優しくて、楽しませてくれて、お弁当も美味しそうに沢山食べてくれた。

「風が気持ちいいですね」
「あぁ、そうだな…結愛がこんなに動物が好きだなんて思わなかったよ」

「言ってませんでしたか?実家には犬2匹と、猫3匹飼ってて、そのせいもあって、好きなんです」