向かったオフィスでは、今回の企画部の参加者が会議室のテーブルに座り、私達を待っていて。

「これから一ヶ月間よろしくお願いします。松木要と有坂結愛です」

要の挨拶に、私も深々と頭を下げた。

そして、顔をあげた瞬間、笑顔が一瞬にして凍りついた。

…瑞樹がいた。

…同じ会社だったとは思いもよらなかった。

端に空いてる2席に、腰掛けた私達は、企画内容と、自分達の仕事の内容を把握していく。

分厚い企画書。説明の中で、大事そうな所は、赤線を引いたり、書き足したりした。

「びっしり書き込んだな」

それを見た要が感心している。

「わからないなりにでも、少しでも皆さんのお役にたてればと思って」

「そうか、いい心がけだな」

それからの私達は、企画部の人達のサポートで走り回っていた。

瑞樹は気になったものの、私に近寄ることも無く、大丈夫そうだと思うようになっていた。

そんなある日、企画部の人達の後片付けをしていると、誰かが私の頬に、冷たい缶を当てた。

驚いて振り返った私は更に驚いて固まる。

「お疲れ様」
「ぇ、あ…」

言葉をつまらせてしまった。

「俺が近づくのも…怖い…か?」

「…」


相手が瑞樹だったから。