その場にしゃがみこんだ私に、社長が駆け寄ってきた。

「結愛、どうした?体調悪いのか?」
「…」

過呼吸のようになってしまった私をぎゅっと抱き締めた社長は、とにかく私を落ち着かせることに必死だった。



あれからどれくらい経ったのだろうか。

ようやく落ち着いた私は、息が吸えるようになった。

「…良かった。少しは落ち着いたみたいだな」
「…すみません、これ以上迷惑はかけられませんので、帰ります」

「ダメだ。帰さない。こうなった理由を聞くまでは」

「…」

「…瑞樹が関係してるんだろ?」

…何度首をふっても、諦めない社長。

私は観念して、過去のことを話すことにした。

瑞樹との関係を。




瑞樹との出会いは、大学の時。

私が一回生、
瑞樹は四回生。

テニスのサークルの先輩と後輩。

仲良くなった私達は、瑞樹の告白により、恋人と言う関係になった。

最初は優しかった。

でも、関係が進むにつれて、束縛が激しくなり、連絡も頻繁になり、初めて出来た彼氏だったけど、怖くなった私は、深い関係になる前に、終止符をうち、瑞樹から逃げ出した。

それ以来、恋人なんて、つくるきはなくなっていた。