「これ…」


海外のアニメなんかを手掛ける会社の映画だ。
しかも、これは確か、主人公が死者の世界を旅して行くという内容だった筈。


「恋愛ものもありますよと言われたんだけど、そういうのは苦手でさ」


ファミリー向けの映画だけど興味深くない?と言われ、つい面白そうかも…と乗ってしまった。


「決まり。それじゃどっかで食事しよう」


彼はそう言うとさっと私の手を取り、駐車場へ行こうと言い出した。


「え?」


「今日は車で移動してたんだ。チケットも郊外のシアターが指定されてるし、丁度いいだろ」


「あの、ちょっと」


もしかして、最初からそこを指定してるのを選んだ訳じゃないですよね!?と問いたくなり、まじまじと彼を見上げてしまう。


「ん?何?」


訊き返す彼の顔が寄ってきて胸が鳴る。
別に何でもありません、と顔を背け、先導されるがままに付いて行った……。